エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「そうかー。やっぱりお父さんがいいのか」

「あのね。てれび、おっきいの。あちゅくない。エベレーターのりゅの!」


 潤一と暮らすマンションだと、大画面でゴーゴーレンジャーを観ることができる。

 夏でも涼しく、朝、蝉の声で起こされることもないし、大好きなエレベーターは乗り放題だ。

 先ほどは父親が恋しいのかと思って喜んだが、大きなテレビやエレベーターのある住まいがよかっただけかと苦笑いした瑞希であった。



 それから二日経った火曜の夕方、スーツケース片手に潤一が帰宅した。

 アイランド型キッチンで夕食の支度をしていた瑞希は、その手を止めるとリビングに入ってきた夫に笑顔で駆け寄った。

「潤一さん、お帰りなさい」

 一週間ぶりであるからかそれとも新婚だからか、見慣れたはずのスーツ姿の夫にドキドキと胸が高鳴る。

「ただいま瑞希。会いたかった」

 潤一が妻を抱き寄せ、包むように手のひらで頬に触れる。

「変わりない?」と三日月形に目を細めた夫に、瑞希は頬を染めながら答える。

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