エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 ガーデンテーブルが緑の間に八つほど、配置されている。

 とても素敵なフランス風の庭だが、十四時の今、気温は三十度を超えており外でくつろいでいる人はひとりもいなかった。

(暑いから長時間は無理だけど、ここなら海翔を自由に遊ばせてあげられる)

 海翔は水を得た魚のようにいきいきと走り回り、瑞希もホッと笑顔になる。


「ママ、ダンゴ虫、いりゅ?」

「うーん、どうだろう。探してみようか。お花を踏まないように気をつけてね」


 建物の陰になっている場所にしゃがみ、親子でダンゴ虫探し。

(あーあ、結婚式でも着せたタキシードなのに、土で汚れちゃった。まぁいっか)

 綺麗な格好でパーティーに参加しても、遊び方はいつも通り。

 海翔は無邪気で純粋だ。

(その笑顔、最高!)

 しばらく海翔と遊んでいたら、テラスの方に人の声がした。

 顔だけ振り向けば、先ほど話しかけてきた二人組である。

 金子とブノワがフランス語で会話していた。


「金子さん、布施は使えそうですか?」

「真面目で堅物そうだな。柴山大臣までの足掛かりにしたかったが、金で動いてはくれなそうだ。どうするか……」
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