エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 小学校は昼休みが二時間近くあり、海翔もまたランチをとるために自宅に帰ってきていた。

 今日の昼食は蕎麦にした。

 和食の食材は、週末に専門店に行ってまとめ買いしてくる。

 五月はまだ肌寒く、かき揚げをのせた温かい蕎麦ができあがると、瑞希はダイニングテーブルに家族を呼んだ。

 帆香は潤一が寝かしつけてベビーベッドの中に戻されており、三人でテーブルを囲む。

 食べながらの会話は、海翔の学校のこと。

 午前中は理科の授業で、グループで発表した光合成の仕組みがわかりやすく先生に褒められたらしい。

 海翔は得意げだ。

「そうか。お父さんにも今度教えてくれ」

 潤一が目を細めてそう言うと、海翔は張り切って頷いていた。

 けれどもその後に「友達と遊ぶのも楽しいか?」と問われると、急に顔を曇らせた。

 箸を置いてしまった海翔を瑞希が心配する。


「なにかあったの?」

「ルシアンに、お前とはもう遊ばないと言われた……」


 ルシアンは、海翔が仲良くしている友人のひとりである。

 詳細を尋ねると、口を尖らせて教えてくれた。

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