エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「私もわからないんだよね。あれイヤこれイヤで、困っちゃう」

「そういう時期だからね。あんたも二歳の時はそうだったわ」


二歳になると自我の芽生えでイヤイヤ期に突入するとは聞いていたが、はたしてその通りで対応が大変だ。

朝ご飯を泣かせずに食べさせるのも一苦労。

昨日はパンとおにぎり、ふりかけご飯を並べてどれがいいかを選ばせたのに、食べ終わってからやっぱりそっちがよかったと絨毯に寝転がって泣かれた。

『理不尽な』と頭を抱えるくらいは許してほしい。

それでも瑞希は海翔が可愛くて愛しくて、この子の幸せのために頑張ろうと思うのだ。

作った朝食を居間の食卓テーブルに並べていたら、父が起きてきた。

朝刊を手にメタボ気味のお腹をポリポリと掻いて、窓際の日焼けしたソファにどかっと座る。

「おーい、母さん、コーヒー」と張り上げた声に、母がムッとしている。

台所との仕切りの玉暖簾から顔を出し、「缶コーヒーでも飲んでよ。こっちは忙しいの」と言い返していた。

父は五十八歳の会社員で、二歳下の母はスーパーのレジ打ちで長年家計を助けている。

仲はいい方だと思うが、たまには口論もする。

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