エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
朝から喧嘩されてはかなわないと思った瑞希は、「私がコーヒー淹れるから」とやかんを手に取った。

けれどもお湯を沸かしたはいいものの、今度はタタタと小さな足音が近づいてきた。

「おちた!」と舌足らずに起床を伝える息子に、自然と目が細まる。


「おはよう、海翔。ひとりで起きられてえらいね」

「うん。ママ、ゴーゴーレンジャー、見ゆ」


海翔の着ているパジャマはゴーゴーレンジャーのプリント付きだ。

五人組の戦隊ヒーローで、日曜日にテレビ放送されている。

その録画を何度も見返すほど、海翔がはまっていた。

それは男の子だからというよりは瑞希の影響かもしれない。

子供の頃から今に至るまで、瑞希は戦隊ヒーローがオタクのレベルで大好きだ。

同年代の女の子の友達には理解してもらえず、その話題だけは男の子と盛り上がっていた。

そんな瑞希なので海翔と一緒に録画を見たいと思うけれど、朝は時間がない。

コーヒー粉の瓶を片手に「じいじにお願いしてくれる?」と言ったが、「イヤ。ママがいい」と海翔にふくれっ面をされた。

「そっか。ママがいいのね。わかったよ」

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