エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「いや……」

少し迷ってから布施は、解答への手がかりを探して瑞希の名を出した。


「なぁ、退職した森尾のことを覚えているか?」

「ああ、森尾ちゃんね。覚えてるよ。結構、話す間柄だったからな」


局が違うのになぜかという視線を向ければ、小堺が瑞希との思い出話を始める。

庁舎内の食堂で、たまたま隣の席に座った時に、戦隊ヒーローの話で盛り上がったそうだ。

それからというもの、顔を会わせるたびに、その話題を振ってくる。

小堺が戦隊ヒーローにはまっていたのは小学生の時までで、最新のものはわからないというのに、瑞希が目を輝かせるから、つい話を合わせてしまったという。

布施が形のいい眉を上げた。


「森尾は戦隊ヒーローが好きなのか?」

「好きのレベルじゃない。あれはマニアだね。シリーズ全部見ているそうだ。なんで知らないんだよ。俺よりお前の方が、遥かに関りが深いだろ」

「子供の頃は俺もテレビ放送を見ていたぞ。過去のものなら話ができる。なぜ森尾は、俺には話さないんだ……」

(悔しい……)

それが本音である。

思わず眉間に皺を刻んだら、小堺が吹き出した。

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