エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
もしかして、自分ではない他の人に話しているのかと思い……。

誰もいなかったが。

公園に着くと、すでに多くの家族連れの姿が見られた。

まずは立ち入り可の芝生広場でボール遊びだ。

遊具も色々あるが、そこで遊ぶのは十二時頃がいい。

昼時を狙えば比較的空いていて、人気のタコさん滑り台やラッコブランコにさほど並ばず遊べると知っていた。

お弁当はその後でもいいだろう。

海翔は食べるより遊ぶ方を優先したがるだろうから。

芝生でボール投げを始める。

ボールにプリントされたキャラクターはもちろん、ゴーゴーレンジャー。

真剣な顔をした海翔が、「ひっしゃつ!(必殺)」と言いながら大振りで投げる。

それは四メートルも飛ばずに転がって、瑞希と父の目が細くなった。

(我が子ながら、なんて可愛い。布施さんにもこの姿を見せてあげたい)

無意識にそのような思いが湧いて、直後にハッとした。

(なんて馬鹿なことを)

布施と再会した日から四日が経っていた。

気づけば彼のことを考えてしまうので、困りものである。

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