エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
(布施さんとは、二度と関わるつもりはないのに。海翔の存在は隠さないと。もし布施さんの子だと知られたら……)

布施の反応を想像するのも怖かった。

彼にとっては、迷惑以外のなにものでもないだろうから。

「ママ、えいっ!」

海翔が駆け寄ってきて、至近距離からボールをぶつけてくる。

ソフトビニール製なので少しも痛くないが、受け損なったボールは瑞希のお腹に当たって転がった。

「あっ、近すぎ。海翔ズルいよ。捕まえて、こちょこちょしちゃうぞー!」

キャハハと笑って逃げる海翔を追いつつ、瑞希は布施の顔を消そうと努力していた。


遊具でもたっぷりと遊び、十四時近くなってから芝生に敷物を広げた。

三人でお弁当を囲む。

大きな密閉保存容器ふたつには、卵焼きやミートボール、ウインナーにポテトフライなど、子供向けに可愛らしく飾りつけたおかずを詰めてきた。

おにぎりとサンドイッチ、デザートのカットフルーツもたっぷりだ。

独り暮らしの時は面倒くさくて料理はほとんどしなかったのに、海翔のためなら少しも億劫ではないから不思議なものだ。

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