エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
目を輝かせて甘い卵焼きから頬張る海翔を嬉しく思って見ていたら、瑞希の着ているサロペットのポケットで携帯電話が震えた。

取り出して見ると、真野からの電話の着信である。

「お父さん、友達から電話なんだ。海翔、お願いしていい?」

おにぎりを食べながら父が頷いてくれたので、瑞希は「ちょっと待っててね」と海翔にも声をかけて、数メートル離れた。

なんとなく、友人との会話を親に聞かれるのが恥ずかしい。

口調が多少変わるだろうから。

「もしもし、真野ちゃん?」

『瑞希、元気? 今忙しい?』と問う声に少々の懐かしさを覚える。

三日前に布施が帰国したというメッセージが送られてきたが、電話は久しぶりだ。


「元気だよ。この前は連絡ありがとう。今ね、忙しくはないけど海翔と公園に来ているから長電話はできないかな」

『わかった。それじゃ単刀直入に聞くけど……』


真野の口調はいつもと変わらない。

淡白でややせっかちな感じのする早口だが、はっきりと聞き取りやすい声をしている。

そのため、少しも緊張せずに聞く姿勢をとっていたのに、問われたことに驚きのあまり携帯電話を落としそうになった。


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