放課後ランディング
2 もどかしい日々 由依
「最近いつもここから見てるね? 部活」
由依は、隣にいる大樹を見上げて言った。
影は一応あるけれど
けっこうムシムシして暑い。
とうの本人は
何やら真剣にメモをしているし……。
怪我してるのに
こんな暑い非常階段の踊り場で
ずっと
立ちっぱなしでいるなんて……。
「聴いてる? 鈴木くん、コーチの隣で見れば近いし座れて楽だよ? 冷たい麦茶もすぐ飲めるし」
「悪ぃな一の木、ここから試合見るのけっこう勉強になるんだ」
屈託のない笑顔がまぶしくて
「……」
あぁ
これじゃあ二の句が出て来ない。
「無理しないでね? はい、水分補給と甘いもの」
仕方なく、由依は
用意していたポットと
小さな紙袋を差し出した。
「おぉ! さすがマネージャー、助かるよ」
言うなり、大樹は
ポットの麦茶をごくごくと飲み始める。
やっぱり喉渇いているし
コーチの隣だって充分勉強になるだろうに。
「うわっ、コレ美味い!」
調理実習で焼いたパウンドケーキ
可愛くラッピングしたのなんて見る影もなく
ぐちゃぐちゃに開けてかぶりついた大樹は
心底幸せそうに笑って言った。
由依は、隣にいる大樹を見上げて言った。
影は一応あるけれど
けっこうムシムシして暑い。
とうの本人は
何やら真剣にメモをしているし……。
怪我してるのに
こんな暑い非常階段の踊り場で
ずっと
立ちっぱなしでいるなんて……。
「聴いてる? 鈴木くん、コーチの隣で見れば近いし座れて楽だよ? 冷たい麦茶もすぐ飲めるし」
「悪ぃな一の木、ここから試合見るのけっこう勉強になるんだ」
屈託のない笑顔がまぶしくて
「……」
あぁ
これじゃあ二の句が出て来ない。
「無理しないでね? はい、水分補給と甘いもの」
仕方なく、由依は
用意していたポットと
小さな紙袋を差し出した。
「おぉ! さすがマネージャー、助かるよ」
言うなり、大樹は
ポットの麦茶をごくごくと飲み始める。
やっぱり喉渇いているし
コーチの隣だって充分勉強になるだろうに。
「うわっ、コレ美味い!」
調理実習で焼いたパウンドケーキ
可愛くラッピングしたのなんて見る影もなく
ぐちゃぐちゃに開けてかぶりついた大樹は
心底幸せそうに笑って言った。