放課後ランディング
ツマラナそうに答える大樹に

夏慧は肩をすくめて由依を見た。



由依は、ドギマギしつつも

夏慧を見ながら会釈した。



「まぁ取りあえずタオルありがとね、助かった、今日練習試合だから行くわ、お礼はまた今度ね!」

「あぁ、美味いもん期待してる、試合頑張れよ!」



夏慧は、大樹の言葉に頷くと

綺麗な笑顔で手を振って

後ろのドアから消えて行った。



同じクラスの女の子

明るくて、可愛い。

名前呼び、うらやましいな……。



行くタイミングを失って

由依は、もやもやした気持ちで大樹を見た。



「鈴木くん、女の子名前で呼ぶの珍しいね?」

「今の? あぁ、夏慧は同中で、上の名前がおんなじ鈴木なんだ」

「日本人に多い名前トップクラスだ」

「そうそれで、1年の時同じクラスでさ、鈴木が3人もいたから担任がヤヤコシイから名前呼びにするって言い出して……」



うらやましい、鈴木になりたい。



「確か、一の木と同じクラスじゃね?」

「え?」



その言葉に

思い浮かぶ、もの静かな男子の顔。



「瑠衣、オレらと同中のもう一人の鈴木」



大樹は、そう言ってニカっと笑った。



「仲良いんだね」



大樹の笑顔が眩しくて

由依は目を細める。



「まぁな、人数少なかったし」


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