僕の歩く空
縛られている時は、きつく感じたが、外す時は案外簡単で、すぐに外れた。
父は気付かれていないと思ったのか、ごまかすように言った。
「今夜は飲み過ぎた、部屋を間違えたよ。」
そう言いながら、部屋を出ていった。
僕は動揺して、ベットに横たわったまま天井を見つめていた。
早苗は黙ったまま、僕の隣に添い寝すると、僕の縛られていた腕を両手で、そっと包み込んでくれた。
僕は泣いた。
自分が思うより僕は泣き虫だったんだと思った。
そして早苗は僕よりも強く、優しかった。
その夜、僕らは一緒に眠った。
なぜか僕は、あんな事があった後なのに、朝までぐっすり安心して眠り、気付けば、窓からはきらきらと朝日がこぼれていた。
早苗も、僕の腕を包み込むように安らかな表情で眠っていた。
早苗が気付くまで、僕はそのままでいた。