僕の歩く空
秀司、小学六年生の冬だった。
それから間もなく、父は早苗を長野に送った。
母は父に頭があがらず、僕も早苗が長野に行くことに賛成だった。
早苗と僕は手紙のやりとりをすると約束し、月に何回かお互い手紙を書いた。
最初は早苗も、色々と書いてよこした。
長野は空気がキレイだとか、春はまだまだ先で五月だというのに寒くて、暖房をつけることがあるとか。
三ヶ月もすると早苗からの手紙は来なくなった。
心配になり一度一人で長野に行った事があった。
早苗は祖父母の家にいた。
顔色は青白く、少し痩せた早苗は。
二階の部屋でベットから窓を眺めていた。
目は虚ろで、元気がなく、僕の方を見ようともしなかった。
その日の夜、僕は祖母の作った夕食を食べていた。
暖かいご飯は心まで暖かくなり、幸せだと感じた。
早苗は下に降りてこなかった。
夕食後、祖母が僕に話してくれた。
早苗に元気がない理由…。
祖父はその場にいたくなかったのか席を外し、隣の部屋へ行ってしまった。
「秀司、お前からの手紙、早苗は喜んでいるよ、いつも楽しみにしているんだよ。」
「うん、でも最近返事がないから心配で、そしたら早苗はあんな状態で、おばあちゃん、早苗は何か病気なの?」
僕は不安で心配で、仕方なかった。