僕の歩く空
秀司には一つ下の妹がいる。けれど一緒には暮らしていない。
長野の母親の実家で祖父母と暮らしていて、会うのは夏休みくらいだった。
秀司は妹をとても大事に想い、いつも守ってあげたいと思っていたが、ある冬の寒い日、秀司は知ってしまった。
自分が無力で妹を守るなんて、全くできていなかった事実。
妹、早苗は自慢じゃないが、きれいな子で、雑誌モデルのスカウトやらをされていた。
しかし、父が反対したため、そうゆう部類の世界には行けなかった。
父は早苗をずっと自分の手の届く所に置いておきたかった。
なので早苗の部屋は父の隣で、階段を挟んで、母と僕の部屋があった。
早苗はいい子だった、兄の僕の部屋へ遊びにきては、本を読んだり、僕の趣味のカメラを覗いたりしていた。