最初のものがたり
でも、本当に、好きだ。
勇磨が好きだ。
こんなに人を好きになるなんて。
誰かが私を好きになってくれるなんて。
好きな人が好きになってくれるだけで自信になる。
優しくなれる。
毎日が輝いて生きてるって感じる。
勇磨に会えて良かった。
だから絶対に諦めない。
ずっとそばにいたい。
勇磨の為とか、
勇磨の笑顔の為とかじゃなくて、
私が私の為に諦めたくない。
わがままになっても。
「ねぇ勇磨。覚悟してね。
私、勇磨を逃がさないからね。
勇磨だけは誰にもあげないし、離れない。」
私の目を見て笑う勇磨。
「怖ぇー。ストーカーだな。
でも俺もお前を逃がさないからな」
2人で笑う。
これから先もケンカしたり、
ヤキモチ妬いたり、
気持ちが離れる事もあるかもしれない。
だけど勇磨、
私はきっとずっと勇磨が好き。
勇磨がいるから私は私でいられる。
安心して自分を表現できる。
勇磨しかいない。
断言できる。
最初で最後の1人だ。
15で会えた!
それだけで私の人生は成功だ!
そこで、ふと思う。
これって。こういうのって。
「ねぇ、
こういう感じって最終回っぽくない?
なんかハッピーエンドっぽい。」
勇磨が顔を上げて私を見る。
「へぇ、ナナ、そんなに今、幸せなの?
感無量って感じ?」
なんだ、それ。
片眉を上げ、また悪い顔つきになる勇磨。
「お前、これで終わると思ってんの?
バカだなぁ。これからだよ。
俺を誰だと思ってんだよ!
ナナが想像もできないような、
スリルとアクションと、
甘い甘いラブストーリーをあげる。」
バカだなぁ、勇磨って。
「スリルとアクションってなんだよ!」
そのまま両手を伸ばし、
私の頬を引き寄せてキスをする。
長い長いキス。
え?うそっ。
まだ、するの?
長いっ!
息が!
勇磨の力が強くて離れられない。
息苦しくなる。
やめてよ、もう、無理。
「いつも、息、止めるからだよ。
でも、キスだけでも、
結構スリルあるでしょ。」
バカ勇磨!
キスの仕方なんて分かんないもん。
「終わらないよ。最終回なんてないの。
俺たちはまだ、始まったばかりだろ、
初回だよ。
期待しててね、ナナちゃん。
いっぱいいっぱいドキドキさせてあげる。
もっともっと過激で、
もっともっと泣けるほどに、
深い物語をあげるから。」
ヤバイ!勇磨!
想像しただけでドキドキだよ。
なんだ、これ。
確かに最終回じゃない!
まだまだ続く!
やった!
これから私、どうなっちゃうの?
「勇磨!好き!」
「俺も好きだよ、ナナミ」
え、いきなりナナミって、呼ばないでよ。
ドキドキしちゃったじゃん!
慌てる私に爆笑する勇磨。
「ナナをドキドキさせんの、
超、簡単なんだけど!」
もうっ!
バカ勇磨!
これからも期待してるからね。