最初のものがたり
ツバサくんは、恐ろしいくらい
恋愛に疎くて鈍い。
私達は、高校が別々になっても、
毎日に近いくらいメールしてるし、
電話でも話す。
時々会いに来てくれたり、会いに行ったり。
デートだと冷やかされるような場所に
行く事もある。
それはみんな、ツバサくんが行きたいって
言う場所だ。
私から言った事はない。
言ったらきっと「いいよ」って、
そうなると思うけど。
ツバサくんは私の好きな場所も行きたいところも
喜んで、付き合ってくれると思う。
だけど、それには恋愛感情は絡んでない。
ツバサくんに1番近い私がよく分かる。
ツバサくんは私を女の子としてさえ
見てないかも。
でも今はこれでいいんだ。
友達でいいの。
近くにいられるから。
近くにいたい。
好きだって伝えて距離ができるのは何よりも怖いから。
「じゃあまたね」
そう言ってクラスの前で別れた。
チカは隣の3組だ。
私は2組の教室に入り、
窓際の1番後ろの席に座った。