最初のものがたり
ダブルデート映画編
土曜日の事を考えると、
両極端な気持ちで落ち着かない。
カスミちゃんに会うのか怖い。
全く勝てる気がしない。
でも、やっぱり、ウキウキする。
ツバサくんに会える。
ただそれだけで嬉しい。
結局、行かない選択肢はなくて。
結局、会いたい。
だから新しい服を買った。
ピンクのワンピース。
ツバサくんが、かわいいって
言ってたのを思い出して、
つい手に取って買ってしまったベレー帽。
早起きして、それらをベットの上に並べてみた。
ちょっと張り切り過ぎかな、と後悔もする。
だけど、これを着て会いたい。
ちょっとは女の子として、
意識してもらいたい。
鏡に映る自分を励ます。
今日、楽しい事がたくさんありますように。
そう願って家を出た。
待ち合わせ10分前。
サンフラワーガーデンの映画館の前。
入り口近くの柱にもたれるように、
ツバサくんが立っているのが見えた。
あ、ツバサくん、今日は早いな。
「ツバ、」
声をかけようと思った瞬間、
ツバサくんがニッコリと笑って手を揚げた。
ツバサくんの目線の先にはカスミちゃんがいた。
私の声はあっけなく人混みに消され、
再び声をかける勇気も消えた。
ここからでも分かる。
カスミちゃんが何か話しかけると、
ツバサくんはニコニコ笑って何か答えてる。
カスミちゃんの手がツバサくんの体にふれた。
ツバサくんが照れているように見える。
違う、勘違いだよ。
だけど、カスミちゃんは、
やたらとボディタッチをする。
勘違いじゃないかもしれない。
ツバサくん、照れてる。
もしかしたら嬉しいのかも、
とさえ思える。
また2人の世界だ。
入り込めない。
被っていたベレー帽を脱いで、
ぎゅっと握りしめる。
恥ずかしい。
こんなの被って、こんなに気合い入れた服着て。
帰りたい。
帰ろう!
2人に背中を向けた。
歩き出そうとしたその時、
前から歩いてくる勇磨と目が合った。
「よぉ!ナナ。」
そう言って私をまじまじと見る。
「ちっちゃい。」
う、ん?
小さい?
何、背が?
それとも人間的に?
「うん、両方」
笑って私をディスる。
それにしても、私服の勇磨、
初めて見たな。
私も勇磨をまじまじと見た。
青いグラデーションの綺麗なTシャツと
ライトインディゴのGパンを履いて紺のキャップを被ってる。
片手で肩にかけてる紺の上着が、
なんか男の子っぽい。
ムカツクけど似合ってると思う。
制服よりも大人っぽく見える。
「ナナ、これ、被んないの?」
私の手の中から帽子を取り被せた。
「うん、うん、絵描きみたいでおもしろい」
ニヤッと笑う。
「もう!」
怒って帽子を取ろうとする私の手を掴んで
「ごめん、ごめん、嘘!かわいい」
そう言った。
不覚にも、照れた。
私、男の子にかわいいって言われるのら
初めてかもしれない。
なんて返していいのか困り挙動不審になる。
そんな私に勇磨もうろたえる。
「バカ、かわいいって、これがな。」
帽子を指す。
あ、そういう事?
なんだよ、喜んじゃったじゃん!
「バカ勇磨!」
2人で笑った。
両極端な気持ちで落ち着かない。
カスミちゃんに会うのか怖い。
全く勝てる気がしない。
でも、やっぱり、ウキウキする。
ツバサくんに会える。
ただそれだけで嬉しい。
結局、行かない選択肢はなくて。
結局、会いたい。
だから新しい服を買った。
ピンクのワンピース。
ツバサくんが、かわいいって
言ってたのを思い出して、
つい手に取って買ってしまったベレー帽。
早起きして、それらをベットの上に並べてみた。
ちょっと張り切り過ぎかな、と後悔もする。
だけど、これを着て会いたい。
ちょっとは女の子として、
意識してもらいたい。
鏡に映る自分を励ます。
今日、楽しい事がたくさんありますように。
そう願って家を出た。
待ち合わせ10分前。
サンフラワーガーデンの映画館の前。
入り口近くの柱にもたれるように、
ツバサくんが立っているのが見えた。
あ、ツバサくん、今日は早いな。
「ツバ、」
声をかけようと思った瞬間、
ツバサくんがニッコリと笑って手を揚げた。
ツバサくんの目線の先にはカスミちゃんがいた。
私の声はあっけなく人混みに消され、
再び声をかける勇気も消えた。
ここからでも分かる。
カスミちゃんが何か話しかけると、
ツバサくんはニコニコ笑って何か答えてる。
カスミちゃんの手がツバサくんの体にふれた。
ツバサくんが照れているように見える。
違う、勘違いだよ。
だけど、カスミちゃんは、
やたらとボディタッチをする。
勘違いじゃないかもしれない。
ツバサくん、照れてる。
もしかしたら嬉しいのかも、
とさえ思える。
また2人の世界だ。
入り込めない。
被っていたベレー帽を脱いで、
ぎゅっと握りしめる。
恥ずかしい。
こんなの被って、こんなに気合い入れた服着て。
帰りたい。
帰ろう!
2人に背中を向けた。
歩き出そうとしたその時、
前から歩いてくる勇磨と目が合った。
「よぉ!ナナ。」
そう言って私をまじまじと見る。
「ちっちゃい。」
う、ん?
小さい?
何、背が?
それとも人間的に?
「うん、両方」
笑って私をディスる。
それにしても、私服の勇磨、
初めて見たな。
私も勇磨をまじまじと見た。
青いグラデーションの綺麗なTシャツと
ライトインディゴのGパンを履いて紺のキャップを被ってる。
片手で肩にかけてる紺の上着が、
なんか男の子っぽい。
ムカツクけど似合ってると思う。
制服よりも大人っぽく見える。
「ナナ、これ、被んないの?」
私の手の中から帽子を取り被せた。
「うん、うん、絵描きみたいでおもしろい」
ニヤッと笑う。
「もう!」
怒って帽子を取ろうとする私の手を掴んで
「ごめん、ごめん、嘘!かわいい」
そう言った。
不覚にも、照れた。
私、男の子にかわいいって言われるのら
初めてかもしれない。
なんて返していいのか困り挙動不審になる。
そんな私に勇磨もうろたえる。
「バカ、かわいいって、これがな。」
帽子を指す。
あ、そういう事?
なんだよ、喜んじゃったじゃん!
「バカ勇磨!」
2人で笑った。