最初のものがたり
初恋
駅前のカフェでツバサくんを見つけた。
ツバサくんの通う北高は制服が学ランだ。
中学のときのブレザーもかっこ良かったけど、学ランも男らしい。
野球部のツバサくんはスポーツ刈り。
眉が濃くて凛々しいのと、
黒目が大きい瞳のせいで、
全体的に目の印象が強い。
でも笑うと目が細くなり、
途端に赤ちゃんみたいになるところが
すごく好き。
そう思って見てたら、
ツバサくんも気が付いて手を挙げた。
私はちょっと赤くなる。
「ごめん、遅れちゃった。」
そういう私に目を細めて笑う。
うーその笑顔。
「なぁな、顔が赤いね。熱とかある?」
心配してくれた。
「大丈夫、ちょっと暑かっただけ」
私に椅子に座るよう手招きして
メニューを見せる仕草。
ページをめくりながら、
どれにしようかと女子みたいにはしゃぐ姿。
ヤバイ、今日もかわいい。
いいよ、いいよ。
好きなの食べて。
ツバサくんが悩んだ片方を私が頼み、
シェアしようと決めた。
来るまでの間、学校の話を聞いてみた。
「うん、部活はまだ仮入部なんだけど、
野球部にしようと思ってる。
同じクラスの子がマネージャーやるって言っててさ、
高校ってマネージャーがユニフォームとか洗ってくれるんだって、楽だよね。」
そう言って笑う。
いーなぁマネージャーか。
私もツバサくんのお世話したいな。
やっぱり同じ学校、目指せば良かったな。
考えないでもなかった。
でもチカと学校見学に行って、
あの長い坂道を歩いてたら、
なんか、ここだ!って思っちゃったんだよね。
でもこうして今、会えるんだからいいのかな。
「なぁなは、学校どう?」
ツバサくんは私をなぁなって呼ぶ。
ツバサくん以外、そう呼ばないから、
私も呼ばれるとすごく嬉しくなる。
「学校、楽しいよ。
だけど、隣の席の人がね。
陰気で中2病で性格悪いんだよね。」
そういうとツバサくんは驚いて
「中2病?それどういう病気なの?」
まじめに聞く。
ふふ、おかしい。
そういう真面目なところ好きだなぁ。
私が初めてツバサくんに会った時も
真面目だなって思った。
中学1年生の春、放課後、
偶然に通りかかった教室で
男の子が女の子に告白してた。
私、告白シーンなんて、
初めて見たから気になっちゃって、
ついのぞき見してたの。
真っ赤になって、
しどろもどろの男の子が、
やっとの事で「好きです」って
言った時には私までガッツポーズしちゃったんだよね。
だけど女の子はケラケラ笑って、
「ありえない」のたった一言を返した。
私、びっくりしちゃって。
告白されて、「ありえない」って、
どんな返しなの?
せめて、「ありがとう」だろがっ。
私がそう思ったのと同時に、
前のドアが開いて、
坊主頭の男の子が入ってきた。
Tシャツとハーフパンツを履いている。
「なんで、そんな事言うんだよ。
せめてありがとうって言えよ!」
そう言って女の子を責め立てる。
でも彼女は鼻で笑って
「何?関係ないでしょ。うざっ」
と凄む。
それでも立ち向かおうとする、
その男の子を引っ張り私は走った。
体育館脇に連れて来た。
「え?、何?」
そう言う男の子をじっと見た。
小さいな。
やっぱり、さっきも思ったけど、
背が小さいし体も小さい。
「ねぇ、君さ、どこから入ったの?
勝手に入っちゃっダメだよ。
後ね、君がさっき、言ってた事だけど、
お姉さんも正解だと思う。
正しい事でも言えない大人が多いからさ。
君は凄いよ。
でもね、正解だからこそ、
キレる大人もいるから気をつけてね。
じゃあ寄り道しないで帰りなね」
そう言って坊主頭を撫でて帰した。
帰り際に振り返って男の子は言った。
「ねぇ、お姉さんの名前は?」
にっこり笑って答えた。
「ナナミだよ」
男の子も片手を挙げてニコッと笑う。
その仕草がちょっと大人っぽいなって思った。
「なぁなか。またね」
そう言って走って行った。
なぁな、って。
勝手に変な呼び方して。
でも、またね、か。
全く、どこから侵入したのか、最近の子は。
完全に小学生かと思った。
ツバサくんの通う北高は制服が学ランだ。
中学のときのブレザーもかっこ良かったけど、学ランも男らしい。
野球部のツバサくんはスポーツ刈り。
眉が濃くて凛々しいのと、
黒目が大きい瞳のせいで、
全体的に目の印象が強い。
でも笑うと目が細くなり、
途端に赤ちゃんみたいになるところが
すごく好き。
そう思って見てたら、
ツバサくんも気が付いて手を挙げた。
私はちょっと赤くなる。
「ごめん、遅れちゃった。」
そういう私に目を細めて笑う。
うーその笑顔。
「なぁな、顔が赤いね。熱とかある?」
心配してくれた。
「大丈夫、ちょっと暑かっただけ」
私に椅子に座るよう手招きして
メニューを見せる仕草。
ページをめくりながら、
どれにしようかと女子みたいにはしゃぐ姿。
ヤバイ、今日もかわいい。
いいよ、いいよ。
好きなの食べて。
ツバサくんが悩んだ片方を私が頼み、
シェアしようと決めた。
来るまでの間、学校の話を聞いてみた。
「うん、部活はまだ仮入部なんだけど、
野球部にしようと思ってる。
同じクラスの子がマネージャーやるって言っててさ、
高校ってマネージャーがユニフォームとか洗ってくれるんだって、楽だよね。」
そう言って笑う。
いーなぁマネージャーか。
私もツバサくんのお世話したいな。
やっぱり同じ学校、目指せば良かったな。
考えないでもなかった。
でもチカと学校見学に行って、
あの長い坂道を歩いてたら、
なんか、ここだ!って思っちゃったんだよね。
でもこうして今、会えるんだからいいのかな。
「なぁなは、学校どう?」
ツバサくんは私をなぁなって呼ぶ。
ツバサくん以外、そう呼ばないから、
私も呼ばれるとすごく嬉しくなる。
「学校、楽しいよ。
だけど、隣の席の人がね。
陰気で中2病で性格悪いんだよね。」
そういうとツバサくんは驚いて
「中2病?それどういう病気なの?」
まじめに聞く。
ふふ、おかしい。
そういう真面目なところ好きだなぁ。
私が初めてツバサくんに会った時も
真面目だなって思った。
中学1年生の春、放課後、
偶然に通りかかった教室で
男の子が女の子に告白してた。
私、告白シーンなんて、
初めて見たから気になっちゃって、
ついのぞき見してたの。
真っ赤になって、
しどろもどろの男の子が、
やっとの事で「好きです」って
言った時には私までガッツポーズしちゃったんだよね。
だけど女の子はケラケラ笑って、
「ありえない」のたった一言を返した。
私、びっくりしちゃって。
告白されて、「ありえない」って、
どんな返しなの?
せめて、「ありがとう」だろがっ。
私がそう思ったのと同時に、
前のドアが開いて、
坊主頭の男の子が入ってきた。
Tシャツとハーフパンツを履いている。
「なんで、そんな事言うんだよ。
せめてありがとうって言えよ!」
そう言って女の子を責め立てる。
でも彼女は鼻で笑って
「何?関係ないでしょ。うざっ」
と凄む。
それでも立ち向かおうとする、
その男の子を引っ張り私は走った。
体育館脇に連れて来た。
「え?、何?」
そう言う男の子をじっと見た。
小さいな。
やっぱり、さっきも思ったけど、
背が小さいし体も小さい。
「ねぇ、君さ、どこから入ったの?
勝手に入っちゃっダメだよ。
後ね、君がさっき、言ってた事だけど、
お姉さんも正解だと思う。
正しい事でも言えない大人が多いからさ。
君は凄いよ。
でもね、正解だからこそ、
キレる大人もいるから気をつけてね。
じゃあ寄り道しないで帰りなね」
そう言って坊主頭を撫でて帰した。
帰り際に振り返って男の子は言った。
「ねぇ、お姉さんの名前は?」
にっこり笑って答えた。
「ナナミだよ」
男の子も片手を挙げてニコッと笑う。
その仕草がちょっと大人っぽいなって思った。
「なぁなか。またね」
そう言って走って行った。
なぁな、って。
勝手に変な呼び方して。
でも、またね、か。
全く、どこから侵入したのか、最近の子は。
完全に小学生かと思った。