愛しの鳥籠〜独占欲は凶器篇〜
「…そんな可愛い反応されたら、仕事サボってまたしたくなるじゃん」
僕、結構本気で言ったのに、今度は怒りで顔を赤くしたランが、
「っ冗談言ってないで早く仕事行って!!」
グイグイと僕の背中をちからいっぱい押して寝室から追い出して、玄関へと更にグイグイ押す。
…ランって見た目華奢なのに案外力持ちなんだよなぁ。
「あ、朝食はいつものようにテーブルに並べてあるからね。食が細いランでも完食できる量にしておいたから、ちゃんと食べるんだよ?」
「はぁい」
ゆるい返事。これがまた堪らない。
ルームウエアを着ているとは言え、いや、着ているからこそ余計にランの可愛さが爆発している。
「行ってらっしゃーい!」
ちゃんと目が覚めたのかランは今度はハッキリとした声と表情で、うしろ髪引かれまくりな僕をにこやかに送り出してくれた。
…今度、在宅ワークの職業にでも転職しようかな。
職場であるランと出逢った喫茶店に向かいながら、わりと真面目にそんなことを考えていた。