社長はお隣の幼馴染を溺愛している
「志茉と同じ世界だぞ」
「わかってるわよ! 今のは嫌みよ、嫌みっ!」
――要人の笑顔が憎たらしい。
今後の話し合いも兼ねて、夕食は外食になり、私と要人、社長秘書の朝比さんで小料理屋へ来た。
暖簾がなく、隠れ家的な小料理屋は、美人で物静かな女将さんがいる。
小さな店で、カウンター席だけなのかと思ったら、奥の座敷へ通された。
カウンターより座敷がある個室の方が広く、京町家のような造りになっており、向こうの通りに抜けられる細い通路がある。
なんとなくだけど、ここは宮ノ入グループの関係者が使う店なのではないかと思った。
「志茉、飲み物は?」
「お茶にするわ」
「飲まないのか?」
「疲れ切って、そんな気分じゃないわよ」
そういう要人も車の運転があるから、アルコールは飲まない。
なぜ、私が疲れたのかわからないという顔をしている二人――そう、要人だけでなく、朝比さんも同じで、『なにかありましたっけ?』なんて空気を醸し出している。
これが、(主に自分で起こす)事件だらけの人生を送る人たちの顔。思わず、私は冷ややかな目で二人を眺めてしまった。
「要人は疲れてないの? それに、愛弓さんのプライベートをバラまくなんて、やりすぎなのよ!」
「わかってるわよ! 今のは嫌みよ、嫌みっ!」
――要人の笑顔が憎たらしい。
今後の話し合いも兼ねて、夕食は外食になり、私と要人、社長秘書の朝比さんで小料理屋へ来た。
暖簾がなく、隠れ家的な小料理屋は、美人で物静かな女将さんがいる。
小さな店で、カウンター席だけなのかと思ったら、奥の座敷へ通された。
カウンターより座敷がある個室の方が広く、京町家のような造りになっており、向こうの通りに抜けられる細い通路がある。
なんとなくだけど、ここは宮ノ入グループの関係者が使う店なのではないかと思った。
「志茉、飲み物は?」
「お茶にするわ」
「飲まないのか?」
「疲れ切って、そんな気分じゃないわよ」
そういう要人も車の運転があるから、アルコールは飲まない。
なぜ、私が疲れたのかわからないという顔をしている二人――そう、要人だけでなく、朝比さんも同じで、『なにかありましたっけ?』なんて空気を醸し出している。
これが、(主に自分で起こす)事件だらけの人生を送る人たちの顔。思わず、私は冷ややかな目で二人を眺めてしまった。
「要人は疲れてないの? それに、愛弓さんのプライベートをバラまくなんて、やりすぎなのよ!」