社長はお隣の幼馴染を溺愛している
宮ノ入グループ
ニュースが流れた翌日、要人に誘われ、お昼からすき焼きランチをご馳走になっていた。
こんな贅沢でいいのだろうかと思ったけど、これは要人の働きによるお礼なのだそうだ。
なお、秘書の朝比さんも無料で使えるらしい。
無期限っていうところが、恐ろしい。
「どうしてすき焼き店が報酬なの?」
「志茉が牛肉好きだって言ってたからだ」
「私!?」
「ん? 違ってたか?」
「違ってないけど……」
あんな世間を騒がすニュースになったのに、その報酬がすき焼き店の無期限使用だというのが、なんだか申し訳ない。
大きい報酬ではある。あるんだけど、鍋の中を複雑な心境で見つめる。
甘く煮えたお肉が、くつくつといい音を立て、『いい頃合いですよ、志茉ちゃん』と私に優しく語りかけている。
箸で肉をサッと取り、溶き卵につけて口に運ぶ。
とろっとした肉の脂が口の中に溶け、幸せな気分になった。
そして、うっかり忘れるところだった。
「牛肉で騙されるところだったわ。扇田工業のニュースだけど、要人はあのためにお見合いしたの?」
「そうだぞ。だから、気にするなって言っただろ? プライベートなことに関わるからな。これは一部しか知らない」
「プライベートっていうより、扇田工業の疑惑に関わることが極秘でしょ。要人のプライベートなんて、オープンでもいいくらいよ」
こんな贅沢でいいのだろうかと思ったけど、これは要人の働きによるお礼なのだそうだ。
なお、秘書の朝比さんも無料で使えるらしい。
無期限っていうところが、恐ろしい。
「どうしてすき焼き店が報酬なの?」
「志茉が牛肉好きだって言ってたからだ」
「私!?」
「ん? 違ってたか?」
「違ってないけど……」
あんな世間を騒がすニュースになったのに、その報酬がすき焼き店の無期限使用だというのが、なんだか申し訳ない。
大きい報酬ではある。あるんだけど、鍋の中を複雑な心境で見つめる。
甘く煮えたお肉が、くつくつといい音を立て、『いい頃合いですよ、志茉ちゃん』と私に優しく語りかけている。
箸で肉をサッと取り、溶き卵につけて口に運ぶ。
とろっとした肉の脂が口の中に溶け、幸せな気分になった。
そして、うっかり忘れるところだった。
「牛肉で騙されるところだったわ。扇田工業のニュースだけど、要人はあのためにお見合いしたの?」
「そうだぞ。だから、気にするなって言っただろ? プライベートなことに関わるからな。これは一部しか知らない」
「プライベートっていうより、扇田工業の疑惑に関わることが極秘でしょ。要人のプライベートなんて、オープンでもいいくらいよ」