社長はお隣の幼馴染を溺愛している
冗談で言ったつもりが、恵衣は冗談として受け止めてくれなかった。
「ジャングルよ。食うか食われるか。奪うか奪われるか!」
「そ、そう? でも、同じ所で働くこともないから、無害じゃない?」
私がいる経理課には、社会勉強にしてはハードルが高すぎる。
「秘書課よ? 秘書課! 絶対、要人さん狙いよ?」
「でも、要人には男の秘書がいるって言ってたし」
「妻の余裕を見せるわねぇ~」
「誰が妻よ。事実を言っただけでしょ」
湯瀬さんと愛弓さんが、二人で話しているのを恵衣は不機嫌そうに眺め、ぷいっと顔を背けた。
「余裕ないのは、あたしだけかも」
珍しく恵衣は、弱気な発言をして、ロッカールームへ歩いていった。
でも、私はこの時、まだ知らなかった。
要人が言っていたお見合い相手――それが、愛弓さんだということを。
「ジャングルよ。食うか食われるか。奪うか奪われるか!」
「そ、そう? でも、同じ所で働くこともないから、無害じゃない?」
私がいる経理課には、社会勉強にしてはハードルが高すぎる。
「秘書課よ? 秘書課! 絶対、要人さん狙いよ?」
「でも、要人には男の秘書がいるって言ってたし」
「妻の余裕を見せるわねぇ~」
「誰が妻よ。事実を言っただけでしょ」
湯瀬さんと愛弓さんが、二人で話しているのを恵衣は不機嫌そうに眺め、ぷいっと顔を背けた。
「余裕ないのは、あたしだけかも」
珍しく恵衣は、弱気な発言をして、ロッカールームへ歩いていった。
でも、私はこの時、まだ知らなかった。
要人が言っていたお見合い相手――それが、愛弓さんだということを。