社長はお隣の幼馴染を溺愛している
 なんでもできて、強くて自信たっぷりな要人が、泣く姿を見せたのはこれが初めてで、お互いの悲しみと苦しみが交差して、泣きながら、私たちは抱き合った。
 キスをして、体中にお互いの痕をつけて、孤独を消して――自分のものではない熱が、私たちは一人じゃないと教えていた。

「志茉、口を開けて」

 要人は手にしたペットボトルの水を口に含み、私の口に注ぐ。
 水がこぼれても構わず、要人は私に水を飲ませ続けた。
 冷たいはずの水なのに、要人がこぼれた水も全部舐め取り、ボトルの中身が空になるまで繰り返す。
 からっぽのボトルを床に投げ捨てた音が響く頃には、お互い止まれなくなっていた。
 要人が熱い息を吐く。
 その息を下腹部で感じて、腰が浮く。

「志茉。声、我慢しなくていい。息を吐き出して」

 そう言いながら、要人はゆっくりと快楽を引き出していく。
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