社長はお隣の幼馴染を溺愛している
誓約書
 ――私はなんてことをしてしまったのだろう。

 悔やむ気持ちは、すべて終わった後、やってきた。 
 要人の輝かしい将来に消えない汚点を残し、私という存在から逃れられないよう縛り付けた。
 自分がやったことの浅ましさに、後悔したけれど、要人は約束通り、私とずっと一緒にいてくれた。
 私がご飯を食べ、眠るまで、毎日、アパートにいて、家族の様に過ごし、寂しさを感じさせないよう寄り添ってくれる。
 要人がいなかったら、きっとここまで立ち直れなかった。

「志茉。両親の代わりに、三者面談は俺が行く」
「でも……」
「大丈夫だって。俺は志茉の高校の先輩で、教師から、俺は気に入られている。誰もなにも言わない」

 言わないじゃなくて、言わせないの間違いだったけど、その申し出はありがたかった。
 就職するか大学へ進学しようか迷っていた私だけど、要人がいたから相談もできた。
 大学も要人と同じで、親友の恵衣(めい)も同じ大学を受験する。
 徐々に気持ちは安定し、ようやく私が、学校に通えるようになった頃、仁礼木(にれき)の家に呼ばれた。
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