社長はお隣の幼馴染を溺愛している
「えーと、愛弓さん。経理課の課長に聞かないと、勝手に仕事を引き受けられないの。自分の仕事もあるから……」
「課長はいいって言ってましたよ?」
人身御供という文字が、頭に浮かんだ。
愛弓さんを持て余したそれぞれの部署が、押し付け合った結果、持ち回りで担当することになったのだろう。
愛弓さんを今まで引き受けてなかったのは、経理課くらいだ。
「志茉、頑張ってね」
いろいろ事情を察した恵衣は、ぽんっと私の肩を叩いた。
すでに何度も愛弓と戦っているだけあって、余裕の表情を見せる。
「それじゃ、倉地さん。一緒に行きましょっ!」
課長に嫌だと言っても、取り合ってくれないだろう。
諦めて、愛弓さんと倉庫へ向かった。
倉庫は地下にあり、窓のない部屋で薄暗い。
運び込まれたファイルと綴り紐でとじられた書類、無造作に書類を段ボールに詰めて、放り込んだと思われるものまであり、倉庫内は雑然としていた。
ドアを閉めた瞬間、愛弓さんの態度がころりと変わる。
「それじゃ、がんばってね」
愛弓さんの声は低くなり、ふんぞり返って、倉庫にあったパイプ椅子に座った。
「課長はいいって言ってましたよ?」
人身御供という文字が、頭に浮かんだ。
愛弓さんを持て余したそれぞれの部署が、押し付け合った結果、持ち回りで担当することになったのだろう。
愛弓さんを今まで引き受けてなかったのは、経理課くらいだ。
「志茉、頑張ってね」
いろいろ事情を察した恵衣は、ぽんっと私の肩を叩いた。
すでに何度も愛弓と戦っているだけあって、余裕の表情を見せる。
「それじゃ、倉地さん。一緒に行きましょっ!」
課長に嫌だと言っても、取り合ってくれないだろう。
諦めて、愛弓さんと倉庫へ向かった。
倉庫は地下にあり、窓のない部屋で薄暗い。
運び込まれたファイルと綴り紐でとじられた書類、無造作に書類を段ボールに詰めて、放り込んだと思われるものまであり、倉庫内は雑然としていた。
ドアを閉めた瞬間、愛弓さんの態度がころりと変わる。
「それじゃ、がんばってね」
愛弓さんの声は低くなり、ふんぞり返って、倉庫にあったパイプ椅子に座った。