世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




 お礼をしたいと言い、あかりをなんとかファミレスまで連れ出した清谷は、気が気ではなかった。


 目の前に座り、困ったように眉尻を下げるあかりがめちゃくちゃ可愛くて、脳が情報を処理しきれていないのだ。なんせあかりは、清谷の好みど真ん中ドストレレートの外見なのだ。運命の相手、はわわ……状態である。


 自分を見つめ、頬をぽわっと赤くする清谷を見かねたあかりが店員を呼ぶも、清谷は肘でお冷のコップを倒し、ズボンを濡らしてしまう。しかし、とりあえず注文はしなければならない。



「俺、クリームソーダで。えっと、あ、あかりさんは……?」
「私も同じのがいいな」



 店員が注文を取りいなくなると、あかりはカバンからタオルを取り出し、清谷に手渡した。



「ほら、これで拭いて?」
「大丈夫です。これくらい放っておけば乾くので」
「けど、濡れてるの気持ち悪いでしょ。遠慮しないで」
「……ありがとうございます」



 清谷は、あかりの優しさに改めて感動していた。俺の女神優しすぎ……と心の中で天を仰ぐ。




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