世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
普段はどちらかというとしっかり物な清谷は、年齢の割に冷静だと良く言われるが、恋愛に対しては別だった。
好きな相手の前だと、骨抜きにされてしまい、めちゃくちゃ照れて初々しくなる。それが恋する清谷だ。
モテるが、しっかり者の清谷を好きになり付き合った相手は、初々しい清谷とのギャップに耐えきれず別れを告げる。
その繰り返しに耐えられず、最近恋愛をしていなかったが、まんまとあかりに落ちてしまった。
清谷は、タオルを受け取りズボンを拭くと、あかりにぺこりと頭を下げる。
「改めて、この前はありがとうございました」
「どういたしまして。わざわざお礼なんて平気なのに……」
「お、俺がしたかったんです」
「律儀なんだね。偉いなぁ……っていうか、何であの時スーツ着てたの? 私てっきりサラリーマンを助けたのかと思ってたんだ」
あかりが疑問に思っていたことを聞くと、清谷は真面目な表情で答える。
「あの日は、父の病院の創立記念パーティーで」
「……創立記念パーティー」
「あの暑い中、スーツなんて着慣れないもの着て、水分も持たずに家を出たから、バス停で限界が来て」
清谷の父は、この地域では有名な大病院の院長だ。母は産婦人科医、兄は医大に通っている。つまり清谷は、医療従事者一家の次男である。