世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「本当のことだし謝んない」
「今日という今日こそ息の根を止める」
「ごめんなさい清谷くん! 私が謝るから! ごめんねっ! コラ総一郎くん!」
「あかりは謝んなくていい」
「じゃあ総一郎くんが謝りなさい!」
「無理」
「与田! お前明日からバレーできないと思えよ!」
「怪我させる気? お前の家の病院に診察行くわ」
「来るな!! っていうか、いい加減あかりさんから離れろ」
「嫌でーす。引っ張んなよ」
「あーもう! やめてっ!」



 ツカツカ近づいてきた清谷くんが、総一郎くんの首根っこを掴む。負けじと総一郎くんはその手を振り払い、清谷くんの顔面を掴んだ。清谷くんはされるがままなわけもなく、総一郎くんの胸倉を両手で掴む。お互い、その体制のままどちらが手を離すかで競っているらしい。


 あかりが総一郎の後ろから両肩を掴んでも、馬鹿力過ぎて離れない。カオスだ。



「離せ」
「オマエが離せ」
「あ?」
「は?」
「二人ともダメダメダメ、ダメだって! 清谷くん冷静になって! 総一郎くんも手を離しなさい!」
「じゃあ、せーので離す」
「は?そんな気色の悪いことなんで」



 清谷が拒否しようとした時、あかりが背伸びをして清谷に耳打ちをした。清谷は耳元にあかりの吐息を感じ、顔をボッと赤くする。





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