世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「清谷くんごめん。本当にごめん、今日だけは合わせてあげて……お願い」



 あかりのお願い、しかも耳元で。


 これを聞かないという選択肢は、清谷の中に存在しなかった。本当に本当に不本意だが、清谷は総一郎の言う通りにしようと決意する。


 そして、あかりにこそこそ話しをされ、顔を赤くする清谷が心底気に食わない総一郎は、低く唸るような声を発した。



「せーのっ」



 総一郎のその声と同時に、清谷は総一郎の胸倉から手を離す。しかし、総一郎は清谷の顔面から手を離さず、そのままグリグリと力を込めた。


 やり口が汚い。卑怯者だ。あかりはその光景にショックを受けた。


 両者身長180越えの巨人の戦い。幼児が見たら泣く絵面ナンバーワン。それに、そろそろ店の迷惑になってしまう。




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