世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




「総一郎くん! おバカ!」
「お前ふざけんな!」
「あかりにこそこそ話されるとかズルすぎる死刑」
「そんなことで死刑にしないの! そんなんだと、もう口聞かないからね!」



 まさか、こんなことで総一郎が引くとは思っていないあかりが軽く口にした一言で、総一郎はピタリと動きを止めた。


 そして、清谷の顔面から手を離すと、くるりと振り返り、後ろに居たあかりの両頬を両手で包む。その表情は無表情に近いが、絶望が滲んでいた。



「それは絶対無理」
「無理とか嫌とかそればっかりで、約束守ってくれた清谷くんに言うことは?」
「…………」
「失礼なこと言ってごめんなさいは?」
「…………」
「……はぁ、清谷くん」



 あかりは、すりすりとほっぺたを撫で撫でしてくる総一郎の手を弾き、清谷に近付く。


 総一郎は、あかりに拒否をされたショックで固まっている。


 清谷は、総一郎を操るあかりの姿に驚いていたが、今自分の目の前でこちらを見上げるあかりに胸がきゅんと甘く締め付けられた。好きな女の上目遣いは心臓に悪い。


 清谷は分かりやすく動揺する。



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