世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



 思ったよりも総一郎は一筋縄ではいかない。それもそのはず、総一郎が謝りたくないランキングぶっちぎりナンバーワンは清谷だ。


 だけど、あかりが好きと言ってくれて、褒めてくれて、ご褒美をくれると言うのなら、なんとか譲歩しようとしている。


 とりあえず、あかりは総一郎に聞いてみることにした。



「ご褒美って、何が欲しいの? 出来れば私の用意出来るものがいいな」
「……キス」
「……はい?」
「言うこと聞くから、キスしたい」
「へぇっ?!」



 あかりは赤面し、声を裏返しながら椅子ごと後ずさった。これは当たり前の反応だ。


 付き合っていないお世話対象の相手からのご褒美キスのおねだりに、あかりは驚きを隠しきれない。何故キスがしたいのか、理解ができない。恥ずかしいし、そんなのダメだと拒否したい。


 なのに、総一郎の表情は真剣で、あかりはの心臓は何故かムズムズして何も言えなくなった。



「あかりとキスしたい」
「な、な、なんでっ……!?」
「なんか、分かんないけど……」
「分かんないけど?」
「あかり可愛いし、見てるとグッときて心臓がギューーって痛くなるし、抱き締めると本当いい匂いするし」
「ストップ、待って、何言って」
「だから、キスしたいと思った」



 
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