世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
30分どころか1時間、総一郎は浴槽で寝ていた。久しぶりの湯船は気持ち良すぎたらしい。
そして、風呂上がりの総一郎はとろけていた。何とか気力を振り絞り浴室から出て、何の疑問も持たずに出されていたあかりの弟の服を着る。
総一郎はほぼ無意識だ。運動部の意地で身体だけは何とか動いている。
いつもよりお風呂が気持ちよかったのは、あかりが厳選した入浴剤でリラックス効果のせいもあるが、総一郎はそれにも気付かない。
うつらうつらとしたまま自宅と同じ間取りの廊下を歩き、リビングに入ると、そこはカレーの匂いで満たされていた。無意識だが身体は素直。お腹がぎゅるると鳴る。
「あ、そーいちろーくん。やっと上がってきた。食べよう」
「ん……」
ダイニングテーブルの席に着き、目の前に出された、プチトマト、きゅうり、コーンの乗った彩豊かなサラダ。具材ゴロゴロ大盛りカレーは、湯気がほやほやとたっている。