世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「総一郎くんっ……キスしすぎ! もうダメ! 待て!」
「唇以外は良いって言った」
「言ったけど、ここまでされるなんて聞いてないっ」
「まだほっぺ齧りたい……」
「ハムハムしないで! ダメなの!」
「じゃあ、最後にあかりからキスして」
「……へ?」
「俺のほっぺに、ほら。そしたら清谷に謝る」
「ぐぅ……」
総一郎は自分の顔を無意識かつ最大限に生かし、形の良い唇の口角を持ち上げる。そして、自分のほっぺをつんと人差し指で突いた。
あかりは世話好きだ。正義感もそれなりに強いタイプ。だから、総一郎には絶対に清谷に謝って欲しい。
けれどあかりは、やられっぱなしで正直癪だった。自分ばかり恥ずかしいことされて、余裕を無くされて、やり返してやりたいと思った。
あかりは勢いのまま総一郎の両頬をむんずと掴み、高い鼻の頭をあむりと甘噛みした。そしてちゅっとキスをする。
甘噛みからのキス。
総一郎はあまりの出来事に放心する。脳内でぶわりと花が咲き、妖精が楽しげに飛び回った。その隙にあかりは総一郎の膝の上から脱出する。