世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「放してくださーい、朝ごはん抜きになるよー」
「このまま行けばいい」
「無理無理。総一郎くん大きいから動きにくい」
「行ける行ける」
「もーーーー」



 背中に総一郎をくっ付けたまま、あかりはリビングのキッチンへと移動して振り返る。そして、すでに準備の済んでいるスクランブルエッグとサラダの乗ったお皿を総一郎へ渡した。



「運んでください。私はご飯とお味噌汁持って行くから」
「分かった」



 お腹の空いていた総一郎は、ふるふるとしたスクランブルエッグに目を奪われ、あかりの言う通りテーブルにそれを運ぶ。


 引っ付き虫が居なくなったあかりは、手早く朝食をテーブルに運び終え、すでに席に着いていた総一郎に笑顔を向ける。


 テーブルに並ぶ湯気を立てる出汁の効いた具沢山野菜の味噌汁につやつやご飯、そして厚切りベーコンのスクランブルエッグにサラダ。完璧な朝食に総一郎は食べる前から幸せでいっぱいだった。



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