世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



 あかりは素直な知りたがりの総一郎に、こくりと頷く。
 すると、ここ最近恒例の爆弾を総一郎が落とした。



「あかり可愛い、すき」
「…………あー、もう! 心臓に悪いからやめてっ」



 あかりは総一郎から好き好きされるのに弱い。総一郎はそれを無自覚に感じ取り、毎日刷り込んでいる。
 あわよくば同じ気持ちになって欲しいという願いを込めて。


 しかし、あかりは違っていた。



「(……ただの家族的な好きなんだから、照れる必要なんてない)」



 総一郎を引き剥がし、あかりは再び料理に戻る。


 元からあかりに懐っこかった総一郎は、今更あかり可愛いからすきにシフトしたところで鈍感なあかりに気付いて貰えていなかった。


 相変わらずこの二人は付き合っていない。何故。



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