世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




「実は近所でお世話してる子が居て」
「へぇ、そんな子が」
「うん。だから多分その子と過ごすから寂しくないよ、大丈夫」
「……流石あかり、一生推す」
「ん?」
「ごめんこっちの話」



 近所の子供に優しいあかり本当天使。
 唯子はあかりにはわわ状態であるが、相変わらず勘違い続行中でその子供は総一郎のことである。


 あかりは悶絶する唯子を他所に、窓の外の青い空に浮かぶもくもくとした入道雲をボーッと眺めた。



「(……仕方ない、大丈夫、私は平気)」



 あかりは毎年、自分の誕生日に日付が近付くと心が不安定になる。それを自分で理解していた。
 そんな時は、胸のあたりをキュッと掴み深呼吸する。



「(私はもう子供じゃない。お母さんから見て、しっかりしてる私の誕生日を忘れるのも、仕方ない。今は大変な時期なんだし)」



 心の深いところで膝を抱いて泣く小さな頃の自分を、あかりは静かに、どこか悲しく見つめていた。




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