世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



 自分はお母さんの守るべきものではない。大切ではないんだと思うと、辛くてたまらなかった。


 その後、父と三つ子が主体になり誕生日を祝ってくれたものの、母だけはどこかぎこちない。


 あんな顔させたかったわけじゃない。
 お母さんは忙しいんだし仕方ない。仕方ない……。


 あかりはそこから、完全にしっかり者に徹するようになった。


 そして何故か、その経験をしてから誕生日付近になると毎年情緒が安定しなくなる。


 母はあれから忘れずに祝ってくれてはいるものの、あかりの心の根っこの部分にある子供心がいつまでも、受け入れてもらえるわけはない、甘えてはダメ、出来て当たり前、期待するなと訴えかけて来る。


 そして、自分なんか褒めてもらえるわけがない。
 誰かのたった一人の大切になんてなれるわけがないと、誕生日の度に思い知る。



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