世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




「なぁ総一郎、俺もう帰っていい?」
「ダメ」
「あかりさんならお前からなら何貰っても喜ぶだろ? だから俺は早く帰ってゲーム」
「ダメ」
「頑なだな」
「俺一人だと店員に話しかけられる。お前は店員避け」
「て、店員避けって……」



 夏休みに入り、あかりの誕生日を控えた数日前。総一郎と隼也は駅ビルの女子が好きそうな雑貨屋に居た。


 監督の用事で部活が午前で終わった為、帰りに引きずられるように店に連れて来られた隼也は居心地悪そうに店内をキョロキョロ見回す。


 パステルカラーの明るく可愛らしい店内に巨人二人。なんという場違い感。そして総一郎の顔面が無駄に塩イケ顔な為、遠巻きに女子からキャッキャされて隼也は深く深くため息をつく。


 けれど総一郎だけは人目を気にせず真剣にあかりへのプレゼントを選んでいた。



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