世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




「そーいちろーくん、ご飯どれくらい食べる?」
「大盛り」
「わー、いいねいいね。たくさん食べよう。ちなみにお茶は温かいの? 冷たいの?」
「冷たいのがいい」



 あかりは嬉しくて仕方がないのを隠さずに、破顔しながらお茶碗に山盛りご飯をよそって総一郎に手渡す。




「いただきます」



 総一郎は両手を合わせると、刻みネギがポイントのだし巻き卵をばくりと頬張り、じゅわりと口内に溢れたお出汁に感動しながらご飯を大きな口に掻き込む。


 ハムスターのように頬を膨らませ、もぐもぐとそれを咀嚼し、飲み込むと、油揚げともやし、キャベツの具沢山味噌汁を啜る。温かく優しい味が胃を満たし、甘めの味噌の風味が鼻を抜ける。


 ふはっと息を吐き、きゅうりの浅漬けを齧ると、さっぱりとしていてシャキシャキとした食感が楽しく、ご飯がこれまた進む。


 どれもこれも、今まで食べたことのないくらい、優しい味がした。


 総一郎は口数が少ない。しかし、その表情で美味しいという気持ちを伝えてくれる。


 あかりは総一郎にお茶を出しながら、ぽやっとその光景を眺めていた。




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