世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




「それじゃあ、もう転んだらダメだよ?」
「あっ、あの!! あかりさんっ……」



 帰ろうとしたあかりを清谷が必死に呼び止める。モデルフェイスが真っ赤に染まり、大変可愛いことになっているが、あかりはそれを見てまた熱中症かな? と心配になる。



「俺と、このあとっ…………あれ?」



 清谷はケーキビュッフェデートに誘おうとあかりの顔を真っ直ぐに見つめたとき、あることに気付く。


 そして、さっきまでの赤面は見る影なく消え、両手であかりの手首を掴んだ。



「あかりさん……もしかして体調悪いですか?」
「え? いや、そっちこそ熱中症大丈夫?」
「俺は大丈夫です。なんだか、短期間で少しほっそりしましたよね? もし良ければうちの病院に来てください。無理はしない方が良いです」
「そ、そんなことないから大丈夫っ」



 清谷の親族は皆医療従事者だ。
 昔から病院を出入りする機会も多かった清谷は、体調の悪い人間を見慣れている。
 慌てるあかりの様子を見て、清谷は心配を深めた。



「何か、不安なことでもあって食事が出来ないんですか?」
「……そんなことないよ」
「そうですか……」



 あかりは、そんなに顔に出ていたんだと反省してシュンとする。
 清谷はそんなあかりの両手首を放し、首を傾け口を開いた。



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