世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



 あかりに手を掴まれた清谷は、ハッと顔を上げる。自分から何の気無しに接触するのは良いが、あかりからの接触は清谷にとってドキドキしてしまう。


 顔を赤くして固まった清谷の手から、あかりはスマホを抜き取った。
 ほっとあかりが息を吐くと、清谷が蚊の鳴くような声を発する。



「……あかりさんの誕生日、俺も祝いたいです」
「え? 私の誕生日を? 祝ってくれるの?」
「はい。誕生日の日は部活なんですが、別日に盛大に祝うので、どうか俺にあかりさんの誕生日を祝うチャンスを下さい」
「ちゃ、チャンスも何も……別に私断らないよ……?」
「言質取りましたからね。今週中に予定を確認して連絡します」
「言質って大袈裟だな。ありがたくお祝いされます」



 あかりが思わずふふっと笑うと、清谷は安心したのかガバリと立ち上がる。
 そしてあかりから返してもらったスマホで何かを素早く検索し始めた。



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