世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果
「清谷くん……?」
「あかりさん、近々夏バテに良い食べ物を送っておきます。今日は気を付けて帰ってください。俺はこの後あかりさん生誕祭の下調べがあるので」
「んん? 下調べ?」
「では、また!」
何やら電話をしながら走り去っていった清谷の背中をあかりは呆然と見送る。
まるで嵐のようだったが、清谷の優しさがよく分かるキッカケになった。
あかりは深く息を吐き、口角を上げた。
「誕生日、……嬉しい日なんだから」
みんながあかりの誕生日を祝ってくれようとしている。みんながおめでとうと言ってくれる。
だから早く、過去のことなんて忘れて笑顔でその日を迎えられるようにならなくては。
なのに、どうしても心の底がジクジクと痛み続ける。その痛みから逃げるように、あかりは家に向かって脚を踏み出した。
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