世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




「(なんていい食べっぷりなの……)」



 三つ子も良く食べたが、総一郎はそれ以上に幸せそうに、尚且つたくさん食べてくれる。あかりの心は、幸せの極みでキャパオーバーのメロメロだった。


 総一郎は、昨日のうつらうつらとした状態は電池切れの子供。起きた姿はクールで口数が少ない。しかし、ご飯を食べる姿は表情豊か。あかりは心からお世話チャンスに感謝した。



「おいしい」
「よかった! おかわりする?」
「する」




 二人の間に色気はない。食い気しかない。


 総一郎は見た目が良い。清潔感のある色素の薄い髪の毛に、涼しげな目元、通った小鼻、薄い唇。今時の塩顔イケメンだ。


 スポーツマンらしく、無駄のない筋肉のついた身体は絶対にかっこいい。本人は部活一筋で気にしていないが、とにかくモテて有名だ。

 そして、見た目はクールだが、喋らないだけで中身はぽやぽやしている。だから今もぽやぽやガツガツご飯を食べている。


 そして、あかりの目は三つ子のせいでイケメン慣れしているため、総一郎のことはぽやぽやした可愛い男の子としか写っていない。


 あかりは最後まで、総一郎のいい食べっぷりを心のシャッターに収め続けた。




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