世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果
「総一郎くん、ごめんね。私ボーッとしちゃって」
毎年の不調とはいえ、あかりはここまで失敗の多い年は初めてだった。
自分の心や体調くらい管理しなくては、しっかりしなければいならないのに。
しかし、しっかりしなくては、次こそはと思っても、小さな失敗が積み重なる度、あかりの心は冷静さを失っていった。
「なんで怪我して謝んの。俺、何も迷惑かけられてない」
「……だって、総一郎くんのお世話、私がしなきゃなのに、逆にこんなことばかりで」
「……なに言ってんの、あかり」
「部活頑張って、こうやって私のところに帰ってきてくれて、私が総一郎くんのお世話するって言ったのに」
総一郎は、あかりのお世話を求めてここにいる。
あかりはこれ程までに総一郎に愛情表現をされて尚、総一郎が自分の元に帰ってくる理由はそれが一番だと思っていた。
自分の誕生日なんて、別に特別でなくていいから。
しっかりするから、お世話するから、それが私だから。
多くを求めて、しっかりしていないところを見られて、あの日の母のような目を総一郎にまで向けられたくない。
あかりは唇を噛む。