世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



「けど、お世話して欲しいって理由だけじゃなかった。あかりが、あまりにも優しくて温かくて。傍に居たいと思った」
「……そう、なの?」
「あかりにおはようって言われると眠くても起きてよかったって思えるし、あかりとなんでもない話をするだけで、明かりが笑ってるだけで嬉しくなるし、おかえりって言ってもらえると、帰ってきてよかったって思う」
「…………」
「あかりにお世話してもらうのは嬉しい。だけど、それがなくても俺はあかりと居たい。あかりと楽しいだけじゃなく、辛い時も傍に居て支えたい。寄り添いたい」



 あかりの心の奥底で縮こまっている子供の頃の自分が、ゆっくりと顔を上げた。
 心を満たす柔らかな幸福が、降り注ぐようだった。


 総一郎の手があかりの背中に回る。そして、背中をゆっくりと撫でられた。



「だから、なにも謝らないで。いいんだよあかり。大丈夫、俺は絶対ここに居るから」
 



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