世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



 過去を何度も思い、苦しみ、耐える。
 自分の生まれた日が、一年の中で一番悲しい日。
 だけど、総一郎が傍に居てくれるなら、あかりはこんな弱くて情け無い自分を受け入れようと、初めて思えた。



「わ、わたし」
「うん」
「わたしね────」



 吐き出す過去、さよならあの頃の私。
 あかりの心の奥、ずっと傍に居たあの頃の幼い自分が微笑み、やがて消えていった。
 代わりに残された幸福の光に、あかりの凍った部分が溶かされていく。




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