世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




 
「あかり、言いたいこと言わなさすぎ」
「ごえんあひゃい」
「こんなに薄っぺらになる前に話して欲しかった」
「うひゅっぺらって……すいまひぇん」
「けど、我慢しちゃうのがあかりだから、しかたない」


 あかりがすんすん泣きながら言葉を繋ぐのを、総一郎は最後まで黙って聞いていた。


 ぎゅきゅっと抱きしめ、よしよしとひたすらに撫で撫でされ、あかりが泣き止んだ現在両ほっぺをむにむにすりすり撫で撫でされている。


 そして総一郎はやっとあかりの頬から手を離すと、膝の上にある柔っこく小さな手を優しく丁寧に、まるで宝物に触れるように握った。

 

「お世話好きで、しっかり者のあかりもすきだけど、こうやって悲しい苦しいって素直に泣くあかりも俺はだいすき」
「……ほんとに?」
「うん。我慢しないでいいし、俺の場合末っ子だからワガママに育てられてたから。もし誕生日忘れられてたら普通に俺の誕生日だってアピールしてただろうし怒ってた」
「そっか」
「……ずっと悲しかったの我慢してて、辛かったよな。けど平気。俺はもう知ってるから、あかりの心はあかり以上に大切にする」



 真剣な表情の総一郎にあかりは頬を染める。
 総一郎の無意識塩イケメン顔が、いつも以上にキラッキラに輝いて見えて、あかりは動揺した。




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