世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果
これまで何度もときめかされることはあったけれど、ここまで甘く優しく深い、とろけるような感情が自分の中で生まれたことなんてない。
あかりはこんな気持ちを知らなかった。
ドキドキキュンキュンと鳴り響く心音がうるさくて、落ち着こうとあかりは長く息を吐く。
そんなあかりを見て、総一郎は静かに口を開いた。
「けど、根本的に解決も必要だと思う」
「根本的な、解決?」
「────今、お母さんに電話するとか」
「へ」
あかりは途端に真っ青になり、首をふるふると横に振る。
現在夜の9時。きっと迷惑になる。
それに、今更こんなことを言っても混乱させるとあかりは拒否した。
そんなあかりに、総一郎は静かな声色で言葉を続ける。
「だって、娘がこれだけ悩んでるのに。知りたくない親なんていない」
「だ、ダメ」
「でもこのままだと、あかりは本当の意味で楽になれない」
「……それでも、いい」
「いいわけない」