世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした。もう6時半だね。制服のワイシャツ、洗濯しておいたから」
「え」
「ああごめん! 勝手にアイロンかけちゃったんだ!」
「すごい、新品かと思った」
総一郎は感動しながら制服を受け取り、脱衣所で着替えやら身だしなみを整えた。
そろそろここを出なくては。何故か総一郎の心はムズムズした。
そしてあかりは、総一郎というお世話チャンスが去ってしまうことに内心号泣しつつ、笑顔で玄関まで見送る。そして、靴を履く総一郎に保冷バッグを差し出した。
あかりは部活男子であろう総一郎の為に、いそいそと早起きしてお弁当を準備していた。男子が好きなおかずばかりの、自信作のお弁当だ。
「はい、これ」
「なんだ、これ」
「お弁当。簡単なおかずとおにぎりが入ってる。たまたま繋がった縁だったけど、楽しかったよ。ありがとう、そーいちろーくん」
「……こちらこそ、ありがとう」
「あはは、保冷バッグとお弁当箱、ドアノブに掛けてといてくれればいいから」
総一郎の心は、あかりの笑顔と優しさに当てられふわふわしていた。
何故ここまでしてくれるのか、ありがとうはこっちのセリフなのに。