世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



 あかりに言い聞かせるように、総一郎は手を握る力を込める。
 あかりだって分かっている。分かっているけどそれが出来なかったから、今こうなっている。


 総一郎が分かってくれた。
 あかりはそれだけで充分だった。もうこれ以上を望まない。


 家族の前ではこれまでの自分で居る。
 それでいい、変に気を遣われたくない。それに、またあの時のように母に罪悪感に塗れた顔をして欲しくなかった。



「あかり……」



 あかりの青い顔を見て、総一郎はあかりの考えていることが分かってしまった。
 別に総一郎は、あかりの嫌がることをしたいわけではない。



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